2016年9月19日月曜日

大島みち子さんへのラブレター1

大島みち子さんへ
 僕は貴女を愛しています。
 突然の告白で驚かれたことと思います。
 貴女には河野実さんという相思相愛の彼氏がいる
ことは知っています。
 僕は二人の仲を邪魔する気はありません。
 貴女に愛してほしいとも思っていません。
 僕の心の中に貴女がいてくれるだけで幸せです。
 貴女のことを初めて知ったのは小学生の頃、母が
観ていたテレビドラマ「愛と死を見つめて」でした。
 僕は作り話だと思っていました。それに、小学生
だったので恋愛のことはよく分りませんでした。
 覚えているのは河野実さんが電話の前でギターを
弾いていたことだけです。
 貴女が実在の人物だと知ったのは2016年9月
18日で、僕は53歳になっていました。
 貴女が不治の病である「軟骨肉腫」になり、顔の
半分を取り除かなければすぐにでも死んでしまうと
知った時の苦痛を思うと、心が張り裂けそうです。
 僕は男だし、もともと不細工だから顔の半分がな
くなってもたいして変わりません。しかし、貴女の
ようなお嬢さんが顔にメスを入れなければいけない
というのは、本当につらいことだったと思います。
 そのうえ、手術しても長く生きられる保証がない
のですから、決断するのは大変なことだったと思い
ます。
 僕が、もし貴女に何か声をかけてあげられるとし
たら、貴女の外見は変わるかもしれませんが、貴女
が見る世界は何も変わりません。
 もし貴女の愛している河野実さんの顔が半分なく
なったとしたら、貴女は嫌いになりますか?
 心が愛し続ける限り、そんなことはたいした問題
ではないと思います。
 そして「孫子の兵法」の本を見せ、何千年も前に
生きていた人が書いた本が今でも残り、受け継がれ
ていることを知らせ、貴女も人の心に残れば何千で
も生き続けることになると慰めたでしょう。
 こんなことで貴女の苦痛が和らぐとは思いません
が、僕にはこれぐらいしかできません。
 今、貴女が苦痛から解放され、とても幸せに過ご
していると信じたいです。
 世の中はずいぶん変わりました。
 貴女と河野実さんとは何百通も手紙をやりとりさ
れていましたが、今では無料で手紙のやりとりがで
きる方法があるので、貴女たちなら、きっと何十万
通もやりとりしていたでしょうね。
 貴女が好きだった阪神対巨人戦は、あまりパッと
しません。(活を入れてやってください)
 貴女を死に追いやった軟骨肉腫は、治療方法が改
善し、生存率はのびていますが、まだ完治はできな
いようです。しかし、いづれは完治する方法も分る
でしょう。
 貴女のことはすでに忘れられていると思っている
かもしれませんが、貴女の手紙や日記は本になり、
今も読み継がれています。
 きっと、人類が存在する限り、貴女は人々の心に
生き続けるでしょう。
 僕もその一人になっていいですよね?
 僕は貴女のところに逝けるように愛し続けます。
 こんな下手な手紙ですが、少しでも笑っていただ
ければうれしいです。
 
         曠野洋一(こうの よういち)