2016年9月21日水曜日

大島みち子さんへのラブレター2

大島みち子さんへ

 僕は貴女のことをこれからはミコと呼びます。
 ミコという発音は巫女に通じ、ミコは僕にとって
永遠の巫女だからです。

 今日は、僕がミコの恋人だったらどうしていたか
を書きたいと思います。
 もちろん、ミコの愛する河野実さんの対応を間違っ
ているとか批判するつもりはありません。
 当時の人の考え方、困惑した状態で瞬時に判断し
なければいけなかったり、当事者にしか分らないこ
とがあったと思います。
 ミコは河野実さんの性格を知ったうえで愛してい
たのだから、すべてを受け入れられたのだと思いま
す。
 10人いれば10人が違った対応をしたでしょう。
そのひとりとして僕だったらどう対応するかを聞い
てほしいのです。
 どんな対応をしても正解というのはないと思う。
 僕の場合、すでに結果を知っていて、二人がどう
行動したかも知り、冷静に判断できる状態で考えた
ことなので、その時、本当にこのとおりに対応でき
たかは自信がありません。でも、できるだけ当事者
になったつもりで、僕の性格ならこうするというこ
とを書きます。
 今でもミコと同じような境遇になり、恋人もなく、
ひとりで苦しんでいる人がいるかもしれません。そ
んな人の参考にでもなればいいと思っています。

 ミコは睡眠薬をたくさん買って「いっしょに死ん
でくれる?」って聞いたよね。
 僕が先に死ぬから、僕の死体を見て、それでも死
にたいと思ったら死ねばいい。でも、少しでも不安
になったり、生きたいと思ったら、僕のぶんまで生
きていてほしい。
 僕は本当に死ぬ気で睡眠薬を飲むよ。でも、ミコ
ならきっと生きたいと思うだろうし、僕を止めると
思う。

 ミコは顔の半分を取り除く手術をした後、整形す
るまで会いたくないと言ったね。
 ミコは悲しいウソをついたんだ。
 ミコは手術をしたらみんなの気が変わって、誰も
そばに近づかなくなるのを恐れていたんじゃないか
い?
 僕は手術が済んだらできるだけ早くミコに会いに
行く。そして、ミコがどんなに強く拒否をしても、
僕はミコを抱きしめるよ。
「よく頑張ったね。ミコの苦しみは僕が半分もらう
よ」
 こう言っていつまでもミコを抱きしめているよ。

 ミコは「手術がうまくいって健康になることが怖
い」と言ったね。
 半分、顔のない状態でどうやって生きていけばい
いか分らなかったんだ。
「ミコは僕を憎めばいい。ミコに生きていてほしい
と思い、そのために大切な顔を失わせたのは僕なん
だから、一生、許しちゃだめだよ。僕はそれでも一
緒に生きていたい」
 
 ミコの書いた手紙や日記は、死んだ後、燃やして
ほしいと言ってたけど、それは本になり、大きな話
題になった。そのために、ミコのご家族は迷惑し、
河野実さんは、いわれのない誹謗中傷をされた。
 ミコが知ったらミコは悲しむだろうね。でも、本
にならなかったら、僕はミコと出会えなかった。
 ミコは本当に死んでしまっていたと思う。
 ミコの書いた手紙や日記は、ミコが大切に育てた
子供なんじゃないかな?
 それが本となって生まれ、一人歩きを始めた。
 ミコの子供は永遠に生き続ける子供だよ。
 ミコの苦しみに比べたら、ミコのご家族や河野実
さんの苦しみはたいしたことじゃない。それよりも
子供の成長を見守ってあげようよ。

 ミコ、愛しているよ。

         曠野洋一(こうの よういち)